Ultralytics YOLOモデルを活用して、MarineSituは海洋エネルギーシステム周辺の野生生物検出を自動化し、96%を超える稼働率を達成するとともに、毎日の映像確認をわずか1~2時間に短縮しました。
水中環境の監視や海洋エネルギーシステムの監視は容易ではありませんが、こうしたインフラが周囲の生態系とどのように相互作用するかを理解し、野生生物に害を与えず安全に稼働することを確認するうえで不可欠です。従来、研究者は何時間もの水中映像を手作業で確認する必要がありましたが、濁った水、強い潮流、安定しない視界によって作業はさらに困難になっていました。
MarineSituは、高解像度カメラ、コンピュータービジョン、イメージングソナー、環境センサー、機械学習モデルを活用し、研究者や組織による水中環境の監視と理解を支援しています。たとえば、Ultralytics YOLOモデルを使用することで、同社のシステムは潮流タービンやその他の海洋エネルギーインフラの周囲を移動する野生生物を識別して追跡できます。
AIイノベーションによる、よりスマートな海洋監視#
MarineSituは2016年に設立され、Pacific Marine Energy Center(PMEC)とUniversity of WashingtonのApplied Physics Lab(APL)での研究を起源としています。現在は、米国エネルギー省や米国海洋大気庁などの組織と協力しています。
SaltySuite™などのプラットフォームを通じて、MarineSituはカメラ、ソナー、水中聴音器を含む専用ハードウェアシステムと、AIを活用した検出モデルを統合し、複雑な水中環境を監視・分析しています。特に、物体検出(画像内の個々の動物や物体の位置特定と識別)、画像分類(画像の内容に基づく画像全体へのラベル付け)、物体トラッキング(連続するフレーム間で検出対象を追跡し、その動きを分析)などのコンピュータービジョンタスクを適用することで、MarineSituは海洋エネルギー、漁業、環境研究を支えるリアルタイムのインサイトを提供します。
水中監視が見た目以上に難しい理由#
海洋環境の監視は、陸上の状況を観察するよりはるかに困難です。視界は突然悪化することがあり、強い潮流によって機器が動き、海洋生物の付着によってカメラやセンサーがすぐに覆われる可能性があります。状況は刻々と変化するため、一貫したデータ収集が困難です。
研究者やエネルギー事業者にとって、これは大きなボトルネックとなります。プロジェクトでは数百テラバイトの動画、ソナー、音響データが生成されることがあり、手作業での確認は時間がかかるうえ、実用的ではありません。
遠隔地の海洋サイトでは、帯域幅が限られるなどの課題もあり、大容量の動画ファイルをクラウドに送るのが困難です。そのため、運用コストが増加し、データセキュリティ上の懸念も生じます。
こうした課題を解決するため、MarineSituはクラウド転送に頼らず水中ハードウェア上で直接データを処理するエッジAI方式を採用しています。これにより、野生生物や環境イベントをリアルタイムに検出し、研究者が確認すべきデータ量を減らせるほか、帯域幅が低く予測困難な海洋環境でも信頼性の高い監視を維持できます。
Ultralytics YOLOモデルによるリアルタイム水中検出#
MarineSituは、潮流タービン、港湾、研究施設、長期環境観測所など、厳しい条件下にある水中インフラの周辺に監視システムを設置し、海洋生物がこれらの構造物とどのように関わるかを記録しています。同社のAdaptable Monitoring Package(AMP)は、高解像度光学カメラ、イメージングソナー、水中聴音器、LED照明、防汚システムを統合し、レンズやセンサーを数か月にわたって清浄に保ちます。
継続的に流れるマルチモーダルデータを解釈するため、MarineSituはカスタムトレーニングしたUltralytics YOLOモデルを使用し、動画をリアルタイムに分析しています。これらのモデルは、タービンの影響範囲などを移動する海洋生物種を検出して追跡し、重要なイベントに自動でフラグを付け、関連するソナーおよび音響記録と対応付けます。
たとえば、クラゲがタービンの近くを漂うと、インスタンスセグメンテーションにより、Ultralytics YOLOv8やUltralytics YOLO11などのUltralytics YOLOモデルが画像内のクラゲの輪郭全体を捉えられます。これにより、野生生物との相互作用が、何事もない映像が何時間も続く中に埋もれることなく、状況の詳細とともに記録されます。

図1. Ultralytics YOLOモデルを使用したクラゲの検出とセグメンテーションの例。
Ultralytics YOLOモデルを選ぶ理由#
Ultralytics YOLOモデルは、複雑な水中環境でリアルタイム検出を行うために必要な速度と精度をMarineSituに提供します。YOLOv8やYOLO11などのモデルは同社のエッジシステム上で効率的に動作し、TensorRTなどの形式にエクスポートできます。
MarineSituとUltralytics YOLOによる監視で96%の稼働率を達成#
MarineSituはUltralytics YOLOモデルを活用し、厳しい海洋環境での長期展開において、信頼性の高いリアルタイム野生生物監視を実現しました。
太平洋北西部での141日間の展開では、MarineSituのAdaptable Monitoring Package(AMP)は、強い潮流、低い視界、絶え間ない生物付着の圧力にもかかわらず、96%を超える稼働率を維持しました。防汚システムがカメラポート、照明、イメージングソナーを全期間にわたって清浄に保ち、一貫して高品質なデータを確保しました。
システム上でYOLOを連続稼働させることで、研究者はアザラシ、魚、その他の種がタービンの周囲を移動する様子を追跡できました。物体検出とイベントフィルタリングの自動化により、手作業での確認時間が大幅に短縮されました。PNNLとUW-APLの研究者によると、YOLOがフラグを付けたイベントの確認にかかる時間は、多くの場合1日あたりわずか1~2時間でした。フィルタリングされていない映像を最初から確認する場合と比べ、大きな時間短縮となりました。

図2. Ultralytics YOLOモデルを使用したアザラシの検出。
耐久性の高いハードウェア、マルチモーダルセンシング、リアルタイムコンピュータービジョンを組み合わせることで、MarineSituは野生生物との相互作用を包括的かつ文脈に沿って把握できるようにしました。これは手作業での確認だけでは非常に困難なことです。このレベルの信頼性と効率性は、潮流発電プロジェクトの環境評価を加速し、海洋監視システムの基準を引き上げています。
リアルタイムの海洋インテリジェンスを拡大#
MarineSituは、幅広い水中環境でリアルタイムのコンピュータービジョン機能を拡大し続けています。潮流タービンに加え、Ultralytics YOLOを活用したシステムは、港湾での野生生物の監視、サンゴ礁研究の支援、科学施設周辺の魚の行動観察、遠隔地の海洋サイトにおける長期的な環境データの収集にも使われています。
検出パイプラインの中核にYOLOモデルを据え、MarineSituは種の認識精度の向上、エッジベースのAI処理の強化、従来の方法では困難または高コストとなる場所への自動監視の導入に取り組んでいます。同社は水中監視の効率性と利用しやすさを高めるとともに、海洋生態系と人間の活動の関係について、研究者がより明確で迅速なインサイトを得られるようにすることを目指しています。
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