物体追跡にUltralytics YOLO11を使用する方法
自動運転車、監視、農業、製造業などのリアルタイムアプリケーションで、物体追跡にUltralytics YOLO11を使う方法を解説します。
Abirami Vina8 分で読めます
品質管理を徹底し、ワークフローの効率を高めるために、製造施設の組立ライン上を移動する部品を監視・追跡したいとします。通常は手作業で検査するか、基本的なセンサーで品目を追跡しますが、時間がかかり、エラーも発生しやすい方法です。一方、コンピュータービジョンと物体追跡を使えば、このプロセスを自動化し、改善できます。
物体追跡は、動画内の物体の検出、識別、追跡を可能にするコンピュータービジョンタスクです。農場での動物モニタリングから、小売店でのセキュリティや監視まで、幅広い用途があります。動画内で追跡される物体は通常、バウンディングボックスで表示されるため、ユーザーは動画フレーム内で物体がどこに位置し、検出されているかを正確に確認できます。
Ultralyticsの年次ハイブリッドイベント YOLO Vision 2024(YV24)で発表されたUltralytics YOLO11は、物体追跡を含む幅広いビジョンAIタスクに対応するコンピュータービジョンモデルです。(YOLO11の後継モデルはUltralytics YOLO26です。)この記事では、物体追跡の仕組みを解説し、実環境での活用例を紹介します。また、YOLO11を使って物体追跡を試す方法も見ていきます。それでは始めましょう。

図1. 小売店での物体追跡にUltralytics YOLO11を使用する例。
Ultralytics YOLO11によるAI活用型の物体追跡#
物体追跡は、動画内の物体を識別し、時間の経過に沿って追跡できるようにする、重要なコンピュータービジョン技術です。物体追跡は、物体検出という別のコンピュータービジョンタスクとよく似ているように見えるかもしれません。両者の主な違いは、動画フレームの扱い方にあります。物体検出は各フレームを個別に処理し、前後のフレームを考慮せずに物体を識別して分類します。一方、物体追跡はフレーム間の対応関係をつなぎ、同じ物体を時間の経過に沿って追いながら、その動きを記録します。
物体追跡の仕組みを、もう少し詳しく見ていきましょう。
- 物体検出:動画の1つのフレーム内で物体を検出することから始めます。YOLO11を使うと、複数の物体とその位置を正確に特定できます。
- 一意のIDを割り当てる:検出した各物体に一意のIDを付与して、他の物体と区別し、追跡しやすくします。
- フレーム間の動きを追跡:追跡アルゴリズムが後続のフレームにわたって物体を追い、位置を更新しながら、それぞれに割り当てられた一意のIDとの対応関係を維持します。
- オクルージョンへの対応:物体が一時的に視界から消えた場合(たとえば、別の物体に隠れた場合)、追跡器はその物体が再び現れたときに、同じIDで追跡を再開できるようにします。
- 物体情報を更新する:物体が移動するにつれ、時間の経過による変化を反映するため、位置や属性(速度や方向など)が継続的に更新されます。
Ultralyticsは、BoT-SORTやByteTrackなどの追跡アルゴリズムを使ったリアルタイム物体追跡に対応しています。また、YOLO11のセグメンテーションモデルや姿勢推定モデルでも動作するため、幅広い追跡タスクに柔軟に利用できます。
Ultralytics YOLO11による物体追跡の用途#
Ultralytics YOLO11モデルの多彩な機能により、さまざまな業界で幅広い用途が可能になります。YOLO11を使った物体追跡の活用例をいくつか見ていきましょう。
自動運転車の追跡におけるUltralytics YOLO11#
物体追跡は、自動運転車が安全かつ効率的に走行するうえで重要です。自動運転車は、停止、右左折、車線変更などのリアルタイムな判断を行うために、周囲の状況を常に把握する必要があります。物体検出によって、歩行者、自転車、他の車両、交通標識など、周囲の重要な要素を識別できます。しかし、安全に走行するには、一時点で物体を検出するだけでは不十分です。
そこで役立つのが物体追跡です。複数のフレームにわたって物体の動きを追い、時間の経過に沿って追跡できます。たとえば、自動運転車が歩行者の進行方向を予測したり、近くの車両の速度や進行方向を監視したり、信号が変わっていないことを認識したりするのに役立ちます。検出と追跡を組み合わせることで、自動運転車は周囲の物体の動きを予測し、先回りして対応し、安全でスムーズに走行できます。

図2. Ultralytics YOLO11を使って車を検出・追跡できます。
Ultralytics YOLO11の物体追跡による動物のモニタリング#
牛などの農場の動物を追跡することは、適切な管理に欠かせませんが、手間と時間がかかる作業です。センサーやタグを使う従来の方法には、デメリットが伴うことも少なくありません。これらの機器は装着時に動物にストレスを与える場合があり、外れたり損傷したりしやすいため、追跡に支障をきたします。
コンピュータービジョンを使うと、農家は物理的なタグを付けずに動物を監視・追跡できるようになります。物体追跡により、動物の行動や健康状態に関する貴重な情報を得られます。たとえば、動物の歩き方に影響する跛行などの状態を検出できます。物体追跡を使えば、動きのわずかな変化に気づき、健康上の問題に早期に対処できます。
健康状態の監視だけでなく、コンピュータービジョンは、社会的な交流、食習慣、移動パターンなど、ほかの行動の理解にも役立ちます。こうした情報は、群れの管理を改善し、給餌スケジュールを最適化し、動物の全体的な健康を促進するのに役立ちます。手作業を減らし、動物へのストレスを最小限に抑えられるため、コンピュータービジョンを活用した追跡は、現代の農業における実用的で効率的なツールです。

図3. Ultralytics YOLO11で農家と牛を追跡。
Ultralytics YOLO11を使った製造現場の物体追跡#
製造業では、物体追跡に幅広い用途があります。たとえば、物体検出・追跡システムで生産ラインを監視できます。コンベヤーベルト上を移動する製品や原材料を簡単に追跡し、数えることができます。こうしたシステムは、ほかのコンピュータービジョンシステムと連携させ、追加のタスクを実行することもできます。たとえば、欠陥検出システムで不良品を識別し、物体追跡で追跡することで、適切に処理されるようにできます。
製造業における物体追跡のもう1つの重要な用途は、安全性に関するものです。物体追跡システムを使うと、危険の可能性がある製造環境で作業員を検出し、追跡できます。コンピュータービジョンシステムで危険区域を設定して常時監視し、追跡対象の作業員が区域に近づいた場合は監督者に通知できます。こうした安全システムは設備の検出と追跡にも利用でき、盗難のリスクを減らします。

図4. YOLO11の物体検出を使って作業員を検出する例。
Ultralytics YOLO11による物体追跡と監視#
リアルタイム物体追跡は、セキュリティシステムや監視システムで広く使われています。公共の場所、交通の拠点、ショッピングモールのような大規模な小売施設の監視に利用できます。人が多く集まる広い場所では、この技術で不審な人物や群衆の行動を追跡し、継続的に監視できます。たとえば、パンデミックの際には、混雑した場所を追跡し、人々がソーシャルディスタンスを保っているか確認するために、物体追跡システムが使われました。
物体追跡は交通監視にも利用できます。車両の挙動を追跡・分析し、通常とは異なる動きや不審な行動をリアルタイムで検出することで、事故や犯罪の防止に役立ちます。具体例として、速度推定システムがあります。車両を検出して追跡し、速度を特定できます。

図5. 物体追跡を使って速度を推定できます。
Ultralytics YOLO11で物体追跡を試す#
ここまで物体追跡の活用例を見てきました。次に、Ultralytics YOLO11モデルとtrackモードを使って試す方法を説明します。
まず、pip、conda、またはDockerを使ってUltralytics Pythonパッケージをインストールします。インストール中に問題が発生した場合は、よくある問題のガイドで役立つトラブルシューティングのヒントを確認できます。
パッケージのインストールが完了したら、次のコードを実行します。このコードでは、Ultralytics YOLO11モデルを読み込み、動画ファイル内の物体を追跡する方法を示しています。コードで使うモデルは「yolo11n.pt」です。「n」はYOLO11モデルの中で最も小さいNanoを表します。ほかにも、small、medium、large、extra-largeのモデルバリアントがあります。

図6. Ultralytics YOLO11モデルを使った物体追跡を示すコードスニペット。
事前学習済みモデルの代わりに、カスタム学習済みモデルを使うこともできます。カスタム学習では、事前学習済みモデルをファインチューニングし、特定のアプリケーションに適合させます。
前述のとおり、YOLO11では物体検出、姿勢推定、インスタンスセグメンテーションのモデルが物体追跡に対応しています。追跡を必要とする特定のアプリケーションがある場合は、その用途に応じてこれらのモデルをカスタム学習できます。モデルのカスタム学習には、Ultralytics PythonパッケージまたはノーコードプラットフォームのUltralytics HUB(現在のUltralytics Platform)を使用できます。
重要なポイント#
Ultralytics YOLO11は動画内の物体追跡に適したツールで、自動運転車、農業、製造、セキュリティなど、さまざまな分野で活用できます。物体をリアルタイムで検出して追跡できるため、企業や業界が作業員や設備を把握するのに役立ちます。使いやすく、特定のニーズに合わせてカスタマイズできるため、コンピュータービジョンの導入を検討するすべての方にとって有力な選択肢です。
詳しくは、GitHubリポジトリをご覧いただき、コミュニティにご参加ください。ソリューションページでは、自動運転車や農業におけるAIの活用例をご紹介しています。
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